「お店を開きたいので、開業資金をクラウドファンディングで集めたいです」
店舗や飲食店の相談では、こういう話があります。
もちろん、クラファンは開業資金を集める方法のひとつです。
でも僕は、
店舗開業でクラファンを使う一番の価値は、資金調達だけではない
と思っています。
お店をつくる前から知ってもらう。
オープン前からお客さんをつくる。
地域の人や既存のお客さんに、店づくりへ参加してもらう。
そして、
「完成したら行ってみたい店」ではなく、「完成を一緒に待っている店」にする。
ここに、店舗クラファンの面白さがあります。
CAMPFIREでも、飲食店開業のクラファンは、開業資金に加えて、食事券などを使った事前集客やPRに活用できると案内しています。
通常、お店を始める場合、
物件を決める。
内装をつくる。
設備を入れる。
商品やメニューをつくる。
そしてオープンする。
そこから、
「お客さんをどう集めよう?」
と考えるケースもあります。
でもクラファンを使えば、
お店をつくっている途中から、お客さんとの関係をつくる
ことができます。
「ここに新しい店をつくります」
「こんなお店にしたいです」
「今、こんな準備をしています」
と伝えながら、
オープン前から応援者を増やす。
だから僕は店舗クラファンを、
開業資金を集めるイベントではなく、開業前から集客を始める期間
として考えています。
もちろん、資金調達は大きなメリットです。
店舗をつくるには、
物件取得費。
内装工事。
厨房設備。
什器。
備品。
広告。
仕入れ。
など、さまざまなお金が必要になります。
その一部をクラファンで集めることができます。
ただ僕は、
「開業に1,000万円必要だから、クラファンで1,000万円集めよう」
と単純には考えません。
自己資金。
融資。
補助金。
クラファン。
その他の資金。
を組み合わせることもあります。
クラファンに全部を背負わせる必要はありません。
むしろ、
クラファンで何を実現するのか
を明確にする方が大切です。
たとえば、
内装の一部。
子ども向けスペース。
新しい厨房設備。
地域の人が使える場所。
などです。
店舗クラファンで特に大きいのが、
事前集客
です。
たとえばリターンとして、
オープン後に使える食事券。
コーヒーチケット。
回数券。
限定メニュー。
プレオープンへの招待。
などを用意できます。
CAMPFIREも、飲食店の開業では食事券などをリターンにすることで、開店前から集客できる点をメリットとして紹介しています。
つまり、
クラファンで支援してもらった時点で、
未来のお客さんが生まれる
ということです。
オープン初日に、
「誰か来てくれるかな?」
ではなく、
「クラファンで支援してくれた人が来てくれる」
という状態をつくれる。
これは新しい店にとって、かなり大きいと思っています。
店舗クラファンでは、
完成した店だけを見せる必要はありません。
むしろ、
まだ何もない物件。
工事中の様子。
看板がついた瞬間。
厨房設備が入った日。
メニュー開発。
試食。
スタッフの準備。
など、
店ができる途中そのものが発信材料
になります。
普通なら、
完成してから、
「新しいお店がオープンしました」
と知らせる。
クラファンなら、
「ここからお店ができていきます」
というところから見てもらえる。
だから支援者にとって、
単なる新店舗ではなく、
自分も少し関わった店
になる可能性があります。
ただ新しい店をオープンして、
「○月○日オープンします」
と発信する。
それだけでは、ニュースは基本的に1回です。
でもクラファンを組み合わせると、
クラファンに挑戦します。
スタートしました。
目標を達成しました。
内装が完成しました。
プレオープンします。
クラファン支援者を招待します。
いよいよグランドオープンです。
というように、
オープンまでに何度も話題をつくることができます。
CAMPFIREも店舗開業におけるクラファンのメリットとして、オンライン上での認知拡大やPRを挙げています。
クラファン自体を、
開店前の広報期間
として使うイメージです。
店舗は、その場所で商売を続けていくものです。
だから、
全国の知らない人から支援されることだけが価値ではありません。
むしろ、
近所の人。
地域の会社。
既存のお客さん。
取引先。
地元の友人。
近隣のお店。
などに知ってもらうことが大切なケースも多い。
クラファンをきっかけに、
「近所にこんなお店ができるんだ」
「応援してみよう」
「できたら行こう」
となる。
僕はこれを、
開店前に地域へ自己紹介する機会
だと考えています。
店舗クラファンは、単なる資金調達よりも、
地域の中に店の居場所をつくる活動
として使えると思っています。
店舗によっては、
個人のお客さんだけではなく、
地域企業にも参加してもらえます。
たとえば、
企業名掲載。
店内への社名掲示。
オープニングイベントへの参加。
商品提供。
地域活動への協賛。
などです。
特に、
地域の交流拠点。
子ども向け施設。
コミュニティスペース。
福祉。
地域活性。
などの要素がある店舗なら、
「店の商品を買う」以外の応援方法
をつくることもできます。
ただし、
スポンサー枠を置けば企業が支援するわけではありません。
その企業にとって、
なぜこの店舗を応援する意味があるのか。
まで考える必要があります。
店舗クラファンのリターンでは、
その場限りのお返しより、
開業後に来店してもらえるもの
との相性がいいと思っています。
食事券。
回数券。
会員権。
限定メニュー。
イベント参加。
オープニングパーティー。
体験。
などです。
実際、CAMPFIREが紹介している飲食店の事例でも、予約枠を先行販売することで、クラファン後の顧客獲得につなげたケースがあります。
つまり、
クラファン期間中の売上だけで終わらず、
クラファン終了後に店へ来てもらう導線
をつくる。
ここまで考えてリターンを設計します。
ここは注意が必要です。
たとえば、
クラファンで食事券を100万円分販売した。
確かに、その時点では支援金が入ります。
でも、
オープン後には、
100万円分の食事やサービスを提供する必要があります。
つまり、食事券は、
「お金が入って終わり」
ではありません。
その後、
食材原価。
人件費。
席。
予約。
オペレーション。
などが必要になります。
CAMPFIREも、開業後にリターン対応に追われて本来の店舗運営に支障が出ないよう、リターンを用意しすぎないことを注意点として挙げています。
僕なら、
売れた時に困るリターンはつくらない。
これは店舗クラファンでも大切にします。
たとえば、
支援者300人全員が、
オープン直後の1か月に来店したらどうなるか。
予約が取れない。
通常のお客さんが入れない。
現場が回らない。
ということも考えられます。
だから、
利用可能期間。
予約方法。
利用できる曜日。
数量限定。
発送や提供時期。
まで考えておく。
クラファンでたくさん支援されたのに、
オープン後の店舗運営が苦しくなった
では意味がありません。
支援された後まで含めて設計します。
店舗クラファンでは、
「夢だったカフェを開きます」
「自分のお店を持ちたいです」
だけになってしまうことがあります。
もちろん、その夢は大切です。
でも支援者側から見ると、
「なぜ、その店を応援したいのか?」
が必要です。
この地域に必要な場所だから。
この人のお店なら行きたいから。
この商品を食べたいから。
子どもたちの居場所になるから。
この文化を残したいから。
新しい体験ができるから。
など、
支援者側の理由
までつくります。
店を持つことは、起案者にとっての夢。
その夢が、
支援者や地域にとってどんな価値になるのか
まで翻訳する。
ここが大切です。
店舗のクラファンも、
ページを公開してから集客するものではありません。
既存のお客さん。
SNSのフォロワー。
地域の人。
取引先。
友人。
企業。
などへ、
オープン前から、
「こんなお店をつくります」
と伝えていきます。
CAMPFIREの飲食店向け解説でも、「クラファンを立ち上げれば自然にお金が集まる」という考え方ではなく、事前告知や周囲への発信が重要だと説明されています。
つまり、
クラファン公開日=集客開始日ではない。
店舗をつくることを決めたところから、
少しずつ人との関係をつくっていく。
ここは、他のクラファンと同じです。
新商品クラファンの記事でも書きましたが、
クラファンの結果だけで市場全体を判断しないことも大切です。
支援がたくさん集まったから、
開店後も必ず繁盛する。
とは限りません。
反対に、
クラファンで大きな金額が集まらなかったから、
その店に需要がない。
とも限りません。
立地。
営業時間。
価格。
リピート率。
商品力。
接客。
口コミ。
など、
店舗経営には多くの要素があります。
クラファンは、
開業前に市場や人との反応を見るひとつの機会
として使います。
開業後の経営そのものを保証するものではありません。
僕が店舗クラファンで一番避けたいのは、
「お店をオープンできました。クラファン終了。」
になることです。
本当のスタートは、
お店が開いてからです。
クラファンで知ってくれた人が、
来店する。
また来てくれる。
友達を連れてくる。
口コミしてくれる。
地域企業と関係が続く。
イベントが生まれる。
そこにつながって初めて、
クラファンをやった意味がさらに大きくなります。
だから僕は、
クラファン → オープン → 来店 → リピート
までをひとつの流れとして考えます。
店舗の相談を受けたら、僕なら少なくとも、
誰が最初のお客さんになるのか。
なぜこの場所に、この店が必要なのか。
クラファンで何の資金を集めるのか。
オープン後につながるリターンになっているか。
クラファン終了後、どうやってリピーターになってもらうのか。
を確認します。
「開業資金が足りないからクラファン」
だけではなく、
開業前からどうやって店のお客さんをつくるか
まで考えます。
「店舗開業にクラファンを使うメリットは何ですか?」
と聞かれたら、
僕なら、
資金調達。
事前集客。
PR。
支援者づくり。
地域との関係づくり。
があります。
でも、一番分かりやすく言うなら、
お店が完成する前から、商売を始められること。
だと思っています。
まだ店はない。
でも、
知ってくれる人がいる。
応援してくれる人がいる。
食事券を買ってくれる人がいる。
オープンを楽しみにしてくれる人がいる。
その状態で開業日を迎える。
だから僕は店舗クラファンを、
「お店をつくるための資金調達」ではなく、「オープン前からお客さんとの関係をつくる仕組み」
として考えています。
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